最高の女

「何考えてるのかわからない」

今までに一体、何度言われてきたことか。


考えてみるに、彼女たちとは自分をさらけ出せるほど親しく付き合ったわけではなかった。
体だけの付き合いといってしまえばそれまでだが、俺はそこまで割り切ってなかったし、彼女たちだって、俺に『彼氏』であることを望んでいた。
とは言っても、彼女たちが本当に俺を理解しようと行動していたとは思えない。
彼女たちは怠惰だ。
「わたしのことを理解して!」というくせに、「あなたのことを教えて!」という。こちらにばかり、努力を求める。
俺だって、努力していなかったわけじゃない。が、弟分に言わせると、俺は「人付き合いに関してのんびり構えすぎている」らしい。
つまり、時間が足りなかったのだ。彼女たちがせっかちだった、というべきか。

ともあれそういうことで、いつも別れはビンタだった。
冷たいだの怖いだの面白くないだのと、クレームつきで。
そもそも俺は、自分から付き合ったこともなければ別れたこともない。
彼女たちは身勝手だ。俺に何を期待していたのか。
結局それは、今でもわからない。


今の女とは、もう一年になる。これまでになく長い。
というよりも、それまでが異様に長かった。何せ物心ついたときからの付き合いだ。
彼女は俺に、「何を考えているのかわからない」なんて言わない。
俺の気持ちを推し量ってくれる女だ。俺にとっては最高の女だといえる。


けれど、俺には未だに、

あいつが何を考えているのかさっぱりわからない……。

こういうのをのろけっていうのか、兄さんよォ。(2012/5/28 再アップ)

2008/6/29

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